
会社に縛られない生き方とFX:現実的な距離感
※本記事には広告(PR)を含む場合があります。
「会社に縛られている」という感覚を、僕は長いあいだ言葉のまま持っていました。数字にしてみたのは、辞めたあとです。厚生労働省の令和6年就労条件総合調査を開くと、その感覚の輪郭が数字で出てきます。週の所定労働時間、休みの取り方、有給の使われ方。全部そこに載っている。
この記事は、縛りの正体を統計で測ってから、FXをそこにどう置くかを考えるための整理です。為替の売買を会社を辞める手段としてすすめる話ではありません。むしろ、数字を見たあとのほうが、辞める辞めないの話は落ち着きます。
週の所定労働時間は何時間何分か/産業でどれだけ違うか/有給は何日付与されて何日使われているか/その数字を読むときに注意する注記/国が「制限してよい」と書いている場合。
縛りを、時間の単位で見る
令和6年就労条件総合調査によると、1日の所定労働時間は1企業平均で7時間47分、週の所定労働時間は39時間23分でした。前年の調査はそれぞれ7時間48分、39時間20分。1年で1分短くなって、週では3分長くなっています。
この「ほとんど動いていない」という結果こそ、縛りの手ざわりに近い。劇的に減りもしないし、増えもしない。毎年ほぼ同じ数字が並びます。僕が会社にいた8年間で、所定の時間が変わったという話を聞いた記憶はありません。変わったのは、その時間の外に何をするかのほうでした。
産業を横に並べると、週1時間46分の差が出る
同じ調査を産業別に見ると、週所定労働時間がいちばん短いのは「金融業,保険業」の38時間14分、いちばん長いのは「運輸業,郵便業」の40時間00分です。差は1時間46分。1年52週で計算すると、92時間ほどの開きになります。
週に1時間46分と言われるとたいした差に思えませんが、年に92時間は、まる4日弱です。どの業界に入ったかで、自由に使える時間が最初から4日ずれている。この差は本人の努力ではどうにもならない。縛られていると感じるとき、その一部は職種の構造で決まっています。
休みは、増えるほうへ動いた
週休制のほうは動きがありました。「何らかの週休2日制」を採用している企業の割合は90.9%で、前年の調査は85.4%。「完全週休2日制」は56.7%で、前年は53.3%です。1年で5.5ポイントと3.4ポイント、どちらも増えています。
週休3日制の欄も同じ調査に出ていて、「何らかの週休3日制」が1.6%、「完全週休3日制」が0.3%でした。1,000社のうち3社。言葉としてはよく聞くのに、数字にすると3社です。僕が会社にいたころ、週休3日を選べる制度がある会社の話を1件だけ聞きました。あれは全体の0.3%のほうだったわけです。
会社の大きさで、完全週休2日制の割合は18.7ポイント違った
同じ調査を企業規模で切ると、休みの形はきれいに分かれます。「完全週休2日制」を採用している企業の割合は、1,000人以上が72.3%、300〜999人が66.9%、100〜299人が61.4%、30〜99人が53.6%。いちばん大きい会社といちばん小さい会社で18.7ポイントの差です。
有給の取得率でも同じ向きに差が出ていて、1,000人以上が67.0%、300〜999人が66.6%、100〜299人が62.8%、30〜99人が63.7%でした。休みの制度ほどきれいには並んでいない。100〜299人の62.8%が、30〜99人の63.7%を0.9ポイント下回っています。制度の整い方と、実際に使えるかどうかは、必ずしも同じ順番には並ばないということ。
僕がいたのは従業員120人ほどの会社で、規模でいうと100〜299人の層でした。完全週休2日ではあったけれど、有給は年に5日使えれば多いほう。いま数字で見ると、あの体感はこの層の62.8%という数字とだいたい重なります。自分の会社の名前で検索しても出てこない答えが、規模別の行には載っている。
有給は16.9日もらって、11.0日使っている
有給休暇の数字がいちばん生々しい。令和5年の1年間に企業が付与した年次有給休暇は、労働者1人平均で16.9日(繰越日数を除く)。そのうち労働者が取得した日数は11.0日で、取得率は65.3%でした。
使っていない5.9日が、毎年ひとりずつ消えていきます。ただ、この65.3%という数字には続きがあって、概況にはこう書かれています。
取得率は 65.3%(同 62.1%)となっており、昭和 59 年以降最も高くなっている。
厚生労働省「令和6年就労条件総合調査 結果の概況」7ページ
昭和59年以降で最も高い。つまり、僕が生まれる前から数えて、いまがいちばん取れている。縛られている実感と、統計が示す方向は逆を向いています。ここは正直、書いていて意外でした。
宿泊業と鉱業のあいだには、20.5ポイントの開き
平均の65.3%を産業別にほどくと、景色が変わります。最も高いのは「鉱業,採石業,砂利採取業」の71.5%、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の51.0%。開きは20.5ポイントです。
付与日数のほうも違っていて、宿泊業,飲食サービス業は11.6日しか付与されていません。取得は5.9日。全体平均の16.9日・11.0日と比べると、もらう段階で5.3日少なく、使う段階でさらに5.1日少ない。二重に差がついています。平均だけを見て自分の職場を語ると、この二重の差が見えなくなる。
| 産業 | 付与日数 | 取得日数 | 取得率 |
|---|---|---|---|
| 調査計(令和6年調査) | 16.9日 | 11.0日 | 65.3% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 | 17.8日 | 12.7日 | 71.5% |
| 製造業 | 18.3日 | 12.9日 | 70.4% |
| 情報通信業 | 18.7日 | 12.5日 | 67.1% |
| 卸売業,小売業 | 16.7日 | 10.1日 | 60.6% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 11.6日 | 5.9日 | 51.0% |
計画的付与は減った
会社が先に日付を決めてしまう計画的付与の制度は、ある企業の割合が40.1%。前年の調査では43.9%だったので、3.8ポイント減っています。取得率が上がっているのに、会社が日を決める制度は減った。自分で日を選ぶ方向へ動いている、と読むこともできます。
日数の内訳では「5~6日」が72.4%で最も多い。年間5日か6日ぶんは会社が押さえて、残りは本人が決める形です。僕の勤め先も夏に3日、年末に2日が先に決まっていました。あれが計画的付与という名前だと知ったのは、辞めて調べてからでした。
数字を自分の会社に当てはめる前に
ここに並べたのは全国の平均です。自分の職場がどこにいるかは、就業規則と直近の給与明細、有給の残日数を並べれば1時間で分かります。比べる相手は他人ではなく、去年の自分の数字のほうが役に立ちます。
この数字を読むときに、一緒に読む注記がある
取得率の年次推移の図には、注が4つ付いていた。平成13年以降は調査年の前年1年間の状況を表すこと。平成19年以前は調査対象を「本社の常用労働者が30人以上の会社組織の民営企業」としていて、平成20年から「常用労働者が30人以上の会社組織の民営企業」へ範囲を広げたこと。さらに平成26年以前は「会社組織の民営企業」で、平成27年から「常用労働者が30人以上の民営法人」に変え、「複合サービス事業」を含めるようにしたこと。
つまり、昭和59年からの折れ線は、同じ物差しで測り続けた線ではありません。対象が2回広がっている。「過去最高」を引用するときは、この注記も一緒に持っていくのが筋です。数字だけ切り出すと、比べてはいけないものを比べた話になってしまう。
国が「制限してよい」と書いているのは4つの場合
縛りの話を規程の側から見ると、会社が制限できる範囲は限られています。厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、裁判例の整理として、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に労働者の自由であり、制限が許されるのは、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合の4つだと書いています。
ただしガイドラインが扱っているのは雇用や業務の掛け持ちで、為替の売買はそこで想定されている形と性質が違います。勤め先の規程に「投機的行為」のような語が入っていることもある。自分で解釈せず、条文を最後まで読む。詳しくは兼業から始めるFXの現実に分けて書きました。
縛りをゼロにすると、別の縛りが来た
辞めてから分かったのは、縛りが消えるのではなく入れ替わるということです。週39時間23分の所定は消えました。代わりに、収入が読めないという縛りが来た。有給という概念もなくなります。休んだ日は、そのぶん何も生まれない日になる。
去年の11月、体調を崩して4日寝込みました。会社員なら有給か病欠で処理される4日が、自分でやっていると売上のない4日として残ります。取得率65.3%の世界には、少なくとも「休んでも減らない給料」がありました。あれは縛りであると同時に、保険でもあった。
だからFXを、会社を辞めるためのスイッチとして置かないほうがいい。置いた瞬間、相場の結果が生活の可否になります。判断が焦るし、焦った判断は高く付く。距離の取り方はFXを「自由のための道具」として捉える考え方のほうで扱っています。
会社側が強い項目と、自分側が強い項目を並べる
最後に、いま手元にある数字で両側を並べておきます。どちらが良いかではなく、どこが強くてどこが弱いかを見るための表です。
| 項目 | 会社に属している場合 | 自分でやっている場合 |
|---|---|---|
| 週の労働時間 | 所定は1企業平均39時間23分(令和6年調査) | 上限も下限も自分で決める |
| 休みの日 | 完全週休2日制の企業は56.7% | 休んだ日は収入が生まれない |
| 有給休暇 | 平均16.9日付与・11.0日取得 | 制度そのものがない |
| 収入の見通し | 翌月の金額が事前に分かる | 月ごとに変わる |
| 時間の使い先 | 所定の時間は会社が決める | 全部の時間を自分で割り振る |
この表の右側に移ることを自由と呼ぶなら、自由とは「決める回数が増えること」です。減るのは縛りではなく、決めてもらえる回数のほう。そこを取り違えなければ、辞めるかどうかの判断はもう少し静かにできます。
FX(外国為替証拠金取引)は為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。本記事は情報提供・読み物を目的としたものであり、特定の取引や働き方を推奨するものではありません。「必ず勝てる」「誰でも自由になれる」といった事実はありません。最終的な投資判断・働き方の判断はご自身の責任で行ってください。掲載内容は執筆時点(2026年6月)の一般的な情報です。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用する場合があります。



