ソラノミチ

自由な働き方とFXの、現実的な距離感

トレードと生活を両立する時間術・メンタル

トレードと生活を両立する時間術・メンタル

※本記事には広告(PR)を含む場合があります。

「一日じゅう家にいられるなんて羨ましい」。去年の夏、前の会社の同僚にそう言われました。悪気はなく、たぶん本心です。僕は笑って流しましたが、家に帰ってから少し考え込みました。家にいる時間が長いことと、自分の時間があることは、まったく別の話だからです。

両立というと、技術の問題に見えます。実際には、時間の置き場所と、相談相手の有無という、もっと事務的な話でした。この2つを数字で確かめてから、自分の一日を組み直した記録を書きます。

この記事の立ち位置

両立の正解を示す記事ではありません。公表されている生活時間の統計と、自分が試して残ったやり方を並べます。体の不調が続くときは、統計より先に医療機関へ。

通勤が消えても、空いた時間は自由時間に来ない

在宅で働けば時間が増える。そう思っていた時期が僕にもありました。総務省統計局の令和3年社会生活基本調査 結果の要約には、平日・有業者で、その日にテレワークをした人としなかった人の生活時間を並べた表があります。

行動の種類テレワーク(在宅勤務)テレワーク以外
通勤・通学0時間04分1時間07分
仕事8時間37分8時間24分
睡眠7時間32分7時間14分
趣味・娯楽0時間35分0時間19分
学習・自己啓発0時間10分0時間04分

通勤が1時間03分ぶん消えています。ところが仕事は13分伸び、睡眠は18分、趣味・娯楽は16分しか増えていない。消えた1時間03分は、あちこちに散らばって、まとまった塊としては戻ってきていません。

この表は2021年10月16日から24日までのうち指定された2日間の調査で、仕事のある日の有業者52,867千人のうち、テレワークをしていたのは3,542千人、割合にして6.7パーセントです。平均値なので僕やあなたの一日とは違う。ただ、通勤の消滅が自由時間の増加に直結しない、という形は自分の実感と重なりました。

同じ表には年齢階級別の実施割合も並んでいます。25〜34歳が9.9パーセントで最も高く、35〜44歳が8.8パーセント、45〜54歳が6.2パーセント、55〜64歳が6.0パーセント、65歳以上は3.2パーセント、15〜24歳は3.1パーセント。在宅で働ける人はもともと限られていて、しかも年齢で偏っています。「家で働けば時間が増える」という話は、多くの人にとって選べる前提ですらなかった。

専業に移ったとき、僕の通勤時間はゼロになりました。増えたのは相場を見る時間で、増えなかったのは相場を見ない時間のほうです。

一日の終わりを、時刻ではなく動作で決める

相場は終わりません。こちらの一日だけが終わる。この非対称を放っておくと、終わりが毎日ずれていきます。

僕がやめたのは、時刻で区切ることでした。23時で閉じると決めても、23時に値が動いていれば閉じません。代わりに、動作で区切るようにしました。ノートパソコンを閉じて、台所の棚の上に置く。置いた時点で終わり。スマートフォンのアプリは、そのタイミングで通知を切ります。

もうひとつ変えたのが、一日の切れ目をどこに置くかです。為替の一日は、日本時間の早朝、ニューヨーククローズで替わります。以前の僕はそこに合わせて起きていました。市場の一日と自分の一日を重ねると、生活のほうが市場に飲まれます。いまは市場の区切りは市場のものとして放っておき、こちらは自分の朝で数えています。

置き場所を台所にしたのは、寝室から遠いからです。夜中に見たくなったとき、廊下を歩く手間が挟まる。この手間が、僕には効きました。意志より距離のほうが安定します。

「相談できる人がいる」94.6パーセントの調査に、自分は入っていない

専業になって最初に困ったのは、損益ではなく相談相手でした。厚生労働省の令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)によると、仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は94.6パーセント、令和5年調査は94.9パーセントでした。

相談できる人の内訳は、「家族・友人」が68.6パーセントで最も多く、次いで「上司」が65.7パーセント。実際に相談したことがある労働者は74.7パーセントです。

ここで言う労働者とは、常用労働者10人以上の民営事業所で働く人たちのことです。僕はそこに含まれていません。そして上司という欄は、専業になった日から永久に空欄になります。65.7パーセントが選んだ相手が、こちらには最初から存在しない。

男女別の数字も載っています。男性は「上司」が70.6パーセントで最も多く、次いで「家族・友人」が66.2パーセント。女性は「家族・友人」が71.1パーセントで最も多く、次いで「同僚」が63.2パーセント。男性は職場の中に、女性は職場の外にも相手を持っている形です。会社を出ると、この差がそのまま効いてきます。職場の中にしか相手がいなかった人は、辞めた日にゼロになる。

だから僕は、意識して外側に相手を作るようにしました。同じように自分で仕事をしている知人と、月に1回だけ近況を話す。相場の話はしません。今月どれだけ寝たか、どこに行ったか、その程度です。損益を共有しないほうが、かえって長く続いています。

生活の側から、環境を選び直す

一日の終わりを動作で決めるなら、必要なのは高機能な画面より、閉じやすい環境のほうです。通知の設定や画面の切り替えは各社で違うので、比べるときは公式サイトの最新の表示でご確認ください。

生活の予定を先に入れて、相場をそこに合わせる

カレンダーの埋め方を逆にしました。以前は相場の予定を先に入れ、空いたところに生活を押し込んでいた。いまは歯医者も散髪も食事の約束も先に入れて、残った時間に相場を置きます。

この順番にしてから、指標の発表時刻に予定が重なる週が出てきました。最初は損をした気分になりましたが、3か月ほど続けて気づいたことがあります。見られなかった時間帯の成績は、見ていた時間帯と大差なかった。見ていたから勝てたわけではなかったんです。

もうひとつ、予定を先に入れると副作用があります。約束を守るために、相場のほうを諦める練習になる。これは技術でも根性でもなく、単に順番の話です。順番が逆だった頃の僕は、待ち合わせに遅れる理由をいつも相場のせいにしていました。

逆に、予定を入れなかった週のほうが、余計な手が増えていました。空いた時間があると、埋めたくなる。相場はその欲求にいくらでも付き合ってくれます。

同居する人の時間は、こちらの都合では動かない

家で働く人がいちばん見落とすのは、家に別の人がいることだと思います。僕が拠点を移しながら暮らしていた時期、同じ部屋にいる相手の生活音を、相場を見る邪魔だと感じた日がありました。いま思い返すと、邪魔だったのは音ではなく、自分の区切りが決まっていなかったことのほうです。

相手の一日は、こちらの相場観とは無関係に進みます。朝が早い人もいれば、夜に話したい人もいる。その時間帯がこちらの見たい時間帯とぶつかったとき、どちらを譲るかをその場で決めていると、毎回もめます。相手にとっては、こちらの都合が毎回変わるように見えるからです。

やり方を変えたのは単純で、見る時間を口に出して伝えるようにしただけでした。今日は21時から30分だけ見る、と言う。言った以上は30分で閉じます。相手のためにやったつもりでしたが、効いたのはこちら側でした。

あなたの一日は、どこで終わっていますか

解説の代わりに、問いを4つ置いていきます。昨日、相場の画面を最後に閉じたのは何時でしたか。閉じたあと、もう一度開きましたか。今週、損益以外の話をした相手は何人いましたか。来週の予定表に、相場と関係のない約束はいくつ入っていますか。

4つとも数字で答えられるなら、両立はもう形になっています。どれかで詰まったなら、詰まった項目がそのまま今週やることです。時間は勝手には空きません。通勤が1時間03分消えても、そのぶんが自由時間に戻らなかった表が、それを示しています。

涼
涼(りょう)
ノマド・専業トレーダー。拠点を一つに決めず暮らしながらFXと向き合っています。派手な成功談も根拠のない自由論も書かず、お金と働き方の現実的な距離感を等身大に綴っています。

FX(外国為替証拠金取引)は為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。本記事は情報提供・読み物を目的としたものであり、特定の取引や働き方を推奨するものではありません。「必ず勝てる」「誰でも自由になれる」といった事実はありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。掲載内容は執筆時点(2026年6月)の一般的な情報です。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用する場合があります。

同じテーマの読みもの