
限られた時間でのFXとの付き合い方
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2時間08分と13分。前者は日本に住む人がテレビ・ラジオ・新聞・雑誌に使っている1日あたりの平均時間で、後者が学習・自己啓発・訓練に使っている時間です。総務省統計局の令和3年社会生活基本調査 結果の要約の表1から拾いました。10歳以上・週全体の平均です。
この2つの数字を並べて見たとき、僕は自分の一日を数え直す気になりました。時間がない、という言い方は正確ではない。配分が決まっているだけです。以下は、その配分をどう組み替えたかの記録です。
取引の手法を薦める記事ではありません。公表されている生活時間の統計と、睡眠の公的な目安を土台に、時間の置き場所を決めるための材料をそろえます。体調の不安があるときは医療機関へ。
平均の一日には、相場を見る時間が入っていない
まず全体の形を見ます。同じ表1から、週全体・総数の欄を抜き出しました。
| 行動の種類 | 2021年 | 2016年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 睡眠 | 7時間54分 | 7時間40分 | +14分 |
| 仕事 | 3時間28分 | 3時間33分 | -5分 |
| 通勤・通学 | 0時間31分 | 0時間34分 | -3分 |
| テレビ・ラジオ・新聞・雑誌 | 2時間08分 | 2時間15分 | -7分 |
| 休養・くつろぎ | 1時間57分 | 1時間37分 | +20分 |
| 学習・自己啓発・訓練(学業以外) | 0時間13分 | 0時間13分 | 0分 |
| 交際・付き合い | 0時間10分 | 0時間17分 | -7分 |
この表に「相場を見る」という行はありません。当たり前です。では自分はどの行から時間を借りているのか。ここを曖昧にしたまま続けると、いちばん借りやすいところ、つまり睡眠から黙って持っていくことになります。僕がそうでした。
表に入れなかった行も少し書いておきます。家事関連が2時間10分、趣味・娯楽が48分、移動(通勤・通学を除く)が22分。仕事と睡眠と家事関連の3つで、1日の半分以上が埋まります。残りをどう割るか、という話になる。
注意しておくと、これは10歳以上の全員を含んだ平均です。学生も高齢者も入っている。働いている人だけを切り出せば仕事の時間はもっと長く出ます。使えるのは絶対値ではなく、行と行の大小の関係のほうです。
増えたのは休養だけ
増減の列を見ると、5年前より増えたのは休養・くつろぎの20分と睡眠の14分でした。減ったのは移動が7分、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌が7分、交際・付き合いが7分。この調査は2021年10月に行われていて、緊急事態宣言が全ての地域で解除された直後の時期にあたります。外に出る時間が減り、その多くが休養に流れた形です。
男女で分けると形が変わります。仕事は男性が4時間27分、女性が2時間32分。通勤・通学は男性38分、女性24分。5年前との差も男女で逆を向いていて、男性の仕事は14分減り、女性の仕事は3分増えています。同じ「平均」という言葉でも、どちらの平均を見ているかで景色が違う。
ここで注目したいのは、学習・自己啓発・訓練が13分のまま動かなかったことです。移動や交際が減って手元に時間が戻ってきた期間でも、学びの時間は1分も増えていない。空いた時間は、意図しなければ学びには来ません。休養に行きます。
相場と付き合う時間も同じ性質だと思っています。忙しさが減っても、自動的には増えない。増やすには、どこかの行から明示的に引かないといけない。
4割の人が1年に一度は学んでいるのに、1日の平均は13分しかない
同じ調査の結果の概要には、別の角度の数字が載っています。過去1年間に「学習・自己啓発・訓練」を行った人は4455万6千人で、10歳以上人口に占める行動者率は39.6パーセント。5年前より2.7ポイント上昇しました。男性が39.8パーセント、女性が39.5パーセントです。
4割近い人が1年のうちに何かを学んでいるのに、1日あたりの平均は13分。この落差が、やった人とやらない人の差そのものです。毎日やる人が少数で、大半は年に数回まとめてやる。相場の勉強も、まったく同じ形をしていると思います。
この落差には、もう一段の読み方があります。行動者率が2.7ポイント上がったのに、平均時間が13分のまま動かなかった。つまり、新しく始めた人はいるけれど、1回あたりの量が減ったか、回数が少ないかのどちらかです。始めるのは易しく、続けるのが難しい。統計の形が、それをそのまま写しています。
僕が兼業だった3年、平日に触れた時間は朝20分と夜30分でした。まとめて土曜に3時間やった週もありましたが、続いたのは平日の50分のほうです。まとめてやる日は、やらない日の言い訳になりました。
見る時間を減らすのではなく、見る回数を決める
時間で管理するのをやめたのは、時間が伸びる理由がいつも同じだったからです。閉じようとした瞬間に値が動く。あと5分が積み上がる。
いまは回数で決めています。平日は1日2回、朝と夜。土曜は週末の整理で1回。1回あたり何分かは決めていません。回数のほうが守りやすい。時間は途中で伸ばせますが、回数は「もう1回開くかどうか」という、はっきりした判断になります。
回数で決めるやり方には弱点もあります。1回が長くなる。朝の1回で40分見てしまう日があって、これでは時間で管理していたころと変わりません。いまは回数に加えて、朝の1回は家を出る前という条件を付けました。出る時刻が決まっているので、上限が外側から入ります。自分の意志で止めなくていい仕組みのほうが、結局は長持ちしました。
この方式に変えて分かったのは、3回目を開こうとする日にはだいたい理由があることでした。含み損があるか、直前に負けたか。3回目は相場の都合ではなく、こちらの気分の都合で開いている。数え始めるまで気づきませんでした。
回数で区切るなら、開く手間も数える
1日2回と決めたあとに効いてくるのは、画面を開くまでの手数と通知の設計です。アプリの通知や表示の切り替えは各社で違うので、比べるときは公式サイトの最新の表示でご確認ください。
削るのは2時間08分の行
時間を作る場所を、統計から選びました。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の2時間08分です。ここは僕にとって、削っても翌日に響かない唯一の大きな塊でした。
やったのは単純で、テレビのリモコンを引き出しに入れただけです。動画は見ますが、つけっぱなしにはならなくなった。だいたい1日40分から50分ぶんが浮きます。この浮いた時間を、相場と、それ以外の用事に半分ずつ振りました。全部を相場に回さなかったのは、回すと必ず回数が増えるからです。
削る行を先に決めておくと、忙しい週にも迷いません。予定が詰まった日は、相場の回数を減らすのではなく、削ると決めた行から先に削る。順番を決めていないと、いちばん後ろに回されるのはたいてい睡眠でした。
逆に、削ってはいけないと決めた行が2つあります。睡眠の7時間54分と、交際・付き合いの10分。後者はもともと少なすぎて、削る余地がありません。5年で7分減って10分になっている行から、さらに持っていくと、残るものが少なくなります。
睡眠から借りた時間は、翌日の判断で返す
睡眠を削ると、その場では時間が増えます。返すのは翌日です。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023の成人版には、推奨事項の1つ目として「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。」と書かれています。
同じガイドの本文には、睡眠不足が日中の眠気や疲労に加えて、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下を招く、という記述があります。注意力と判断力は、相場で使っている道具そのものです。道具を削って時間を作っている、と言い換えると、割に合わないことがはっきりします。
現状の数字も並んでいます。令和元年の国民健康・栄養調査で、1日の平均睡眠時間が6時間未満の者の割合は男性37.5パーセント、女性40.6パーセント。男性の30〜50歳代、女性の40〜50歳代では4割以上を占めていました。さらに令和3年のOECDの調査報告で、日本人の平均睡眠時間は調査対象33カ国の中で最も短かった、とも書かれています。
ガイドの推奨事項には、睡眠時間の確保のほかにもう2つ並んでいます。食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して睡眠休養感を高めること。そして、睡眠の不調や睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意すること。時間の長さだけの話ではない、という書き方になっています。
僕は専業に移ってから半年ほど、早朝の値動きに合わせて起きる生活をしていました。睡眠は5時間台でした。損益は悪くなかったのに、記録を読み返すと、その時期の判断の説明だけが妙に雑です。何を根拠に入ったのかが書けていない。
平日に削って休日に寝る、という取り戻し方もやっていました。同じガイドには、その方法について明確な記述があります。平日の睡眠不足を休日に取り戻そうと長い睡眠時間を確保する「寝だめ」の習慣で、実際には眠りを「ためる」ことはできない、と。
国際的には週末の眠りの取り戻しと呼ばれ、毎週末に時差地域への旅行を繰り返すことに類似していることから、社会的時差ボケとも呼ばれる、とも書かれています。休日の起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱し、海外旅行と同様の時差ボケが生じる。ガイドはこれを健康を損なう危険性として扱っています。
社会的時差ボケについては、慢性的な睡眠不足による影響と、頻回に体内時計のずれが生じることによる影響の両面があり、肥満や糖尿病などの生活習慣病、脳血管障害や心血管系疾患、うつ病の発症リスクとなることが報告されている、と続きます。相場の話から遠いように見えますが、ここまで来ると時間の配分は健康の配分です。
そして、休日に長時間の睡眠が必要な場合は、平日の睡眠時間が不足しているサインである、とも。僕が土曜の昼まで寝ていたのは、疲れが取れたからではなく、平日の削り方が間違っていた合図でした。
いま使っている割り当て
参考までに、僕がいま回している枠をそのまま書きます。真似してほしいというより、こういう粒度で決めるという例です。
| 枠 | いまの割り当て |
|---|---|
| 相場を開く回数(平日1日) | 2回。朝は家を出る前、夜は21時台 |
| 相場を開く回数(土曜) | 1回。週の記録の整理だけ |
| 相場を開かない日 | 日曜。0回 |
| 削る行 | テレビ等の2時間08分から40〜50分 |
| 削らない行 | 睡眠と、交際・付き合いの10分 |
| 睡眠の下限 | 7時間(ガイドの目安は6時間) |
| 休日の起床時刻のずれ | 平日から1時間以内 |
6時間はガイドが挙げている目安であって、誰にでも当てはまる数字ではありません。同じガイドが、適正な睡眠時間には個人差がある、と先に断っています。僕の場合は7時間を切ると翌日の記録が雑になるので、下限は自分で7時間に引き直しました。目安を自分の数字に置き換えるところまでが、この作業です。
決めなかった枠は、睡眠から埋まる
時間管理という言葉はどうも大げさで、やっていることは配分の付け替えにすぎません。1日は24時間のまま増えない。相場を見る時間を作るというのは、表のどれかの行を短くするという、それだけの話です。
どの行から引くかを決めないまま続けると、いちばん抵抗の少ないところから引かれます。テレビを我慢するのは意識が要りますが、30分遅く寝るのに決断は要りません。5年で学習の13分が1分も動かなかったのと同じ理屈で、空いた時間は意図しなければ休養に行き、足りない時間は意図しなければ睡眠から取られる。
睡眠ガイドの成人版に並んだ推奨事項の最後には、睡眠の不調や睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する、と書かれています。時間の配分の話は、どこかで健康の話に接続している。僕は相場の成績が落ちた月より、寝つきが悪くなった週のほうを、いまは重く見ています。
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